隣のマイスター vol.2 出前授業でみそ普及 シマヤ 原田大介さん(43)

園児がボウルに入った麦こうじと塩を手で混ぜ合わせる。ゆでた大豆を入れたビニール袋を足で踏んで潰す。
1月10日。光市のマリア幼稚園で親子みそ造り教室が行われた。
先生は「みそ知り博士」の原田さん。シマヤのみそ事業部長で「みそソムリエ」の資格を持つ。
「みそは米、麦、豆の3種類があります。手元に用意しているので食べ比べしてみて」
子どもたちは試食スプーンですくって口に運ぶ。
「しょっぱい」
「こっちは甘い」
めいめいに感想を言う。
「山口県の人は何みそを食べているか知っていますか?」
子どもたちはお互いに顔を見合わせる。
「正解は麦みそです。麦の風味がしてちょっと甘いです。全国的には米みそと合わせみそがよく食べられていますが、山口県と愛媛県と九州地方は麦みそがメーンです」

講義に熱が入る。
「今朝、おみそ汁を飲んできた人いる?」
手はまばらにしか挙がらない。これがみその現実なのだ。

みそ離れに歯止めがかからない。全国味噌工業協同組合連合会によると、2017年の全国のみその出荷量は41万4000トン。10年前の9割を切り、長期下落傾向が続く。

食卓の西洋化。減塩志向の高まり。
みそに対する逆風は強い。総合調味料の台頭もあり、「さ・し・す・せ・そ」の影が薄くなっている。
みそソムリエはみその消費低迷を食い止めようと、業界団体でつくる認定協会が09年に制度化した。みそについて広い知識があり、「利きみそ」のできる味覚と嗅覚を持つ。これまで950人が合格した。
原田さんは11年に資格を得た。出前教室を積極的に開き、普及に努める。

〈みその医者殺し〉
江戸時代から伝わることわざだ。栄養価が高く、日常的に口にすれば健康体になり、医者が不要になるという。
「毎日3食たべても飽きない」「余った野菜の切れ端でも何でも具になる」「具のうま味と栄養分が溶け出し、すべて摂取できる」
みそのいいところを語らせたら止まらなくなる。
「千年の歴史のある日本特有の食文化を守りたい」
追い風もある。輸出の増加だ。17年は1万6,000トン。海外での日本食ブームが定着し、毎年10%前後で伸び続ける。

「おうちでおみそ汁はどんな時に食べる?」
園児に再び質問を投げかけた。
一人の子が手を挙げた。
「おかずが微妙な時」
付き添いのお母さんらから苦笑いが漏れた。

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